楽天レバレッジNASDAQ-100の販売が開始して半年が経とうとしています。
そんな中、Twitter界隈ではレバナス投資肯定派(レバナス民)とレバナス投資否定派(否レバナス民)に分断されています。
レバナスなんてギャンブル・投機と同じ。
という否レバナス民が言えば、
今下がってたって〇〇年後には億超える。レバナスをバカにしてる奴らはその時後悔したら良い。
という少々苛烈な人もいました。
個人的にはレバナスは保有しておらず、レバナス自体を肯定も否定もしないですが、一つ疑問があって検証してみたいこともありました。
レバナスの長期積立(ドルコスト平均法)って実際にどの程度の成果になるのかな?
そこで、今回素人なりに検証作業をしてみました。レバナスに肯定する人も否定する人も中立な人も、レバナス自体に興味がある人は覗いてみていってください。
!!注意!!
当記事には特定の実在するファンドが提示されますが、当該銘柄への投資を推奨・否定するものではありません。また、個別株投資そのものを推奨・否定する目的も一切ありません。投資先においては、各個人で十分に情報を精査した上で購入することを強くお勧めします。これらのことをご承知いただいた上で閲覧をお願いいたします。
結論
いきなり結論から入りますが、楽天レバレッジNASDAQ-100(通称:レバナス)は長期積立投資(ドルコスト平均法)による投資には向いていません。
理由としては、NASDAQ-100は長期的には右肩上がりですが、レバレッジファンド自体が短期でのもみ合い相場に弱いからという点です。
これについては楽天レバナスの目論見書にも記載があります。

ここで、NASDAQ-100のチャートを見てみましょう。

このように、長期的・全体的に見て2019年以降から大きく右肩上がりなのですが、グラフの黄色丸の部分を拡大すると、以下のようなグラフになります。

このように、2019~2020年や2021年前後には比較的横這いのもみ合い相場になっていますね。
そこで、以前からこんなことを気にしていました。
長期的には右肩上がりだけど、短期的にはもみ合い相場…。レバレッジってどっちの影響が勝つのかな?
ということで、あくまで過去のデータを参考に以下のような検証を行いました。
- 既存のNASDAQ-100インデックスファンドを販売当初からレバレッジした仮定でのドルコスト平均法による積立成果額の検証
- 実際のNASDAQ-100の推移に合わせて、過去1年間のレバナス成績が仮にどうなっていたかを検証
!!注意!!
以下の検証はあくまで個人ベースで使用できるデータを用いた計算であり、本来のファンド基準価格の計算方法とは異なります(正確な計算方法についてはこちらを参照(外部リンク)してください)。
検証①:既存のNASDAQ-100インデックスファンドを販売当初からレバレッジした仮定でのドルコスト平均法による積立成果額の検証
データとして使用したのは【大和ーiFreeNEXT NASDAQ-100インデックス】の販売開始当初(2018年8月31日)から2022年2月27日時点までの基準価格です。
データ取得の手順は以下の通りです。結果を先に知りたい方は、こちらのリンクから下に飛んでください(記事内リンク)。

SBI証券から当該ファンドの画面に移動し、図の赤丸から過去データを表示させました。すると、以下のような画面が移ります。

①で表示する期間を設定し、②でCSVをダウンロードします。すると、Excelファイルで以下のようなスプレッドシートがダウンロードされます。

こちらのデータを操作していきます。ちなみに、スプレッドシートの【年月日】部分は【直近⇒過去】に設定されているので、ナンバリングして昇順に並び替えなおします。
並び替えし直した後に、以下のようにスプレッドシートを操作します。


これらを全期間行って出来上がったグラフがこちらです。

最終成績(2022年2月27日時点)はNASDAQ-100の場合が375,996円、レバナスの場合が265,362円になりました。
コロナショックの影響もあって、グラフ上は大暴落に目が行きがちですが、実はコロナショック以前の前半でもNASDAQ-100の積立成果よりもレバナスは低い水準で推移しており、レバナスの方が勝ったのは、初期時のみに限られました。
また、たまに「毎日100円積み立てしてます!」という方もいますが、その場合においてもおおよそ同じ傾向になりました。
検証②:実際のNASDAQ-100の推移に合わせて、過去1年間のレバナス成績が仮にどうなっていたかを検証
検証①では既存のNASDAQ-100に連動するインデックスファンドをレバナスっぽく操作したらどうなったか?ということでしたが、検証②では実際のNASDAQ-100のデータを用いました。
※何故1年間という短い期間になったかという前提(というか言い訳)をいうと、データはGoogleファイナンスを基にしていますが、仕様上、指数が1日ごとに把握できる限界が過去1年表示になってしまったからです。

Googleで【NASDAQ-100】と検索すると上画像のようなグラフが表示されます。そして、グラフ上にカーソルを合わせると、その日付の指数値が表示されることになります。
これを一日ずつ確認し、Excel上に記録したものをデータ解析に利用しました。スプレッドシートの作成は以下の通りです。

Googleファイナンスの画面で1日ずつカーソルを合わせて数字を入力していくのはかなり骨が折れました。
こちらも検証①と同様に、毎月月初に10,000円ずつのドルコスト積み立て投資を仮定しています。
約1年間という短い期間ですが、以下のような結果になりました。

こちらでもレバナスはほぼ全期間でNASDAQ-100積立の成果を下回っています。
1年間という短い期間ではあるが故に、レバレッジファンドの特性である、もみ合い相場に弱いことが影響していることが言えるでしょう。
レバナス投資の正解は?
以上の検証により、レバナスはドルコスト平均法による長期投資は不向きであることがなんとなく示されたと思います。
では、レバナス投資の正解(少なくとも、間違いではない方法)は何なのか考えると、以下の2通りになります。
- 初期に数十~数百万円分購入して長期保有(いわゆる『ガチホ(ガチ・ホールド)』)
- 指数値が低下して、上り相場になってきたら購入(いわゆるバリュー投資)
そもそも論、NASDAQ-100自体が、王道のインデックスファンドというよりも、【スマートβ】と言われる、亜種ファンドに分類されるところにあります。
スマートβについて詳しく知りたい方は以下の動画を参考にしてみてください。

NASDAQ-100はナスダック市場に入っている銘柄の中から、時価総額の上位100社で構成されており、そのほとんどがIT系や情報システム系といった銘柄なので、セクター分散が効かず、本質的には集中投資に近い指数になっています。
このようなスマートβ指数という特殊性と、もみ合い相場に弱いというレバレッジファンドの特性を加味すると、ドルコスト平均法による長期分散投資よりも、大口の長期保有やバリュー投資の方が、方法論としては有効であると言えるでしょう。
まとめ
如何だったでしょうか?本記事のまとめを以下に示します。
- レバナスはドルコスト平均法による長期投資には向かない。
- レバレッジファンド自体が短期のもみ合い相場に弱い
- 長期投資の時間分散の効果よりも、もみ合い相場に弱いという特性の方が強い
- NASDAQ-100自体が特定セクターを集めたスマートβ指数に該当するから
- レバナス投資には以下の2種類の手法を用いた方が良さそう。
- 大口を長期保有(いわゆる『ガチホ』)
- 相場が下がり切って、上がりそうな時に購入(いわゆる『バリュー投資』)
今回の検証の穴としては、ファンドの正しい基準価額の計算方法ではないということですが、一つのトピックスとしてレバナス民の方は知っておいた方が良いでしょう。
現在、相場が厳しくなっているNASDAQ-100指数ですが、今後もIT・情報系のセクターが伸びるだろうと思える方はガチホ、非保有者は下がり切るまで待ってバリュー投資の戦法でやっていったら良いと思います。
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参考資料
OANDAラボ|NASDAQとは?ダウやS&P500との違いも解説
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